青木泰の「放射性廃棄物瓦礫広域処理/最前線報告」

静岡関連の4件を皆様にお伝えします。

1) 公開質問状の提出(テキスト&添付)

2) 島田市の最終処分場をめぐる問題。

3) 公開質問状&島田市問題でブログ

   「ざまみあがれい」で青木泰のインタビュー(10月17日)

4) 島田市の最終処分場の地権者の皆さんへの応援メッセージー絵画や漫画等で

      送ろうー処分場に掲示します。(発送先は下記「あんくら島田」)
   「安心して暮らせる島田をつくる市民の会のブログ」(略称:あんくら島田)

 

121016 島田市処分場ー地権者が鉄製支柱設置ー静岡新聞10月16日.pdf
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121017 公開質問状 静岡知事他4市長宛.doc
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121018 島田市処分場 靜岡新聞報道その1002.jpg
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1)公開質問状 

昨日 静岡県で県が主導して県内4市(静岡市、裾野市、浜松市、島田市)でがれきの受け入れを18日に始めることに対して、「震災がれき市民サミットIN静岡」他11団体で、公開質問状を提出し、記者会見を行いました。 

4市のうち静岡市は、午前10時に提出し、午後2時の記者会見の後、3時半に静岡県に提出し、提出に当たっては、それぞれ1時間半説明と、交渉を行いました。 

その時に提出した質問状は下記に。(もしくは添付)3市には、18日の午前中に提出しました。 

静岡県知事殿
静岡市長殿
裾野市長殿
浜松市長殿
島田市長殿

                   公開質問状


 日頃、行政執務にお励みのことと推察いたします。
今般、静岡県から、岩手県の震災がれきを、1018日から受け入れるという発表が行われています。静岡県については、環境省の閣議決定された最新の「工程表」(注1)では、
山田町から 0.89万トン
大槌町から 1.46万トン
合計2.35万トンの木くずを持ってくると発表されています。
しかし5月21日に発表された環境省の方針「推進について」(注2)では、合わせて7.7万トンを受け入れると発表されていました。少なくなったのだから良いという話もありますが、国が発表するデータが、数ヶ月で7割も減少するというのは、元の計画の信憑性も問われることになります。
そこで、今回の受け入れに当たっても、関連していくつかの疑義があります。公開質問状という形でお尋ねいたします。1週間以内に書面にてお答えください。また直接お伺いした節には、その場でできるだけ口頭にてもお答えいただきたいと思います。

1 岩手県及び山田町、大槌町のがれき処理の広域化は、そもそも必要あるのですか?
以下のような、いくつかの公的情報によると、岩手県からのがれきについては、広域化処理する必要がなくなっているという見方が出ています。
(1)環境大臣の見通しが立ったという発言
今年629日、細野環境大臣は、「岩手県の可燃物と木屑(建材・角材)は受け入れ先の見通しが立つ、ありがとうございました」(環境省HP)と発表しました。県内処理の見通しがつき、広域化が必要なくなったという発言と考えられます。いかがですか?

(2)環境省が示している必要量は、信頼できますか?
環境省が2012521日に発表した「推進について」では岩手県に関連する広域化必要量は、10箇所で合計98万トンでしたが、2ヶ月余後の87日に発表された環境省の「工程表」によれば、15.2万トン(6分の1)に減っています。これにつき、以下3点質問します。
   ・「何故、2ヶ月で6分の1に減ったのですか?」
   ・「元々の計画に誤りがあったのですか?」
   ・「減った後の県内対処はどのようになっているのですか?」
通常の計画で、見直し後1~2割が減ったという事例は、たまにあります。しかし今回は、がれきの発生量の見直しの後に発表された98万トンが、6分の1の15.2万トンになっています。環境省が提示する数値が、これだけおおよそで、でたらめでは、それに基づき計画は立てられなくなります。以上の三つの質問にお答えください。

(3)岩手県内で処理ができるのでは?―詳細計画からの計算例
岩手県の詳細計画に示された岩手県内の処理施設でも、発生したがれきの処理は可能ではないかという検証を、以下の通り、行います。
<岩手県内の処理能力>
岩手県の詳細計画改訂版によれば、岩手県内でⅠ~Ⅲの県内処理ができるとなっています。
  Ⅰ 清掃工場の焼却 225トン/
  Ⅱ 仮設焼却炉   195トン/
  Ⅲ セメント工場  770トン/
          合計1190トン/
 これらの処理施設を使用して、処理できる量は、1年間に330日稼動させると、
1190
×330日≒40万トン/
1年間で約40万トン、2年で約80万トン。2年半で約100万トンになります。
<処理しなければならないがれきの総量>
一方、見直し後の焼却するがれきの総量は、以下の通り、Ⅳ~Ⅴとなっています。
  Ⅳ 柱材、角材        306400トン
  Ⅴ 可燃系混合物       66200トン
 ただし、可燃系混合物中の可燃物は544,500トンなので、その時の総合計は、以下の通り、85900トンです。
 Ⅳ 柱材、角材                306,400トン
  Ⅴ 可燃系混合物の中の可燃物         544,500トン
          合計             85900トン
 また、柱材、角材は、1次仮置場に集積された量から推測したときには、推定量は、約半分の16万6,400トンになるとされています。このときには、合計量は、71900トンとなります。
以上、発表されている処理能力からすれば、岩手県は、2年間で約80万トン、2年半で約100万トンの処理ができ、焼却する予定の可燃物は、柱材、角材をすべて燃やすとしても、約71万トン~85万トンしかないので、岩手県内で処理できると推察できます。
この点について、岩手県に内容の確認をお願いします。

(4)隣りの宮城県で大きな余力が発生しているので、宮城県に頼めませんか?
宮城県では石巻ブロックで民間業者に業務委託していた契約を、契約変更して、当初予定量の685万トンから375万トン減らし、310万トンに下方修正しました。予定していたがれきがなくなったため、数量を45%に削減し、契約金額も、440億円減らしました。その一方で、業者は、当初の過大予定量に合わせて、すでに仮設焼却炉を建設終了し、今も大きな余力を抱えています。
環境省の「工程表」によれば、岩手県発の可燃物の広域化の予定数量は15.2万トンです。隣の宮城県では、375万トンもの余力が生まれたのですから、15万トンはその5%でしかなく、岩手県の広域化がれきを十分引き受けることができます。
被災県のがれきの処理に当っての基本方針は、当該市町村、隣接市町村、県内、隣接県内と処理を進めることになっています。
375
万トンもの余力のできた宮城県にて処理すれば、岩手県のがれきの広域化は必要なく、当然、静岡県に持ってくる必要もなくなります。
ちなみに宮城県の業者の処理コストは、1トン当たり約2万円であり、静岡に運んでくれば、その3~4倍はコストがかかります。
この点については、環境省と岩手県に問い合わせ、答えをもらって下さい。
以上、もちろん、がれきの処理に当っては、安全性が大前提であり、被災県である岩手県や宮城県で処理するに当っても、放射能汚染レベルの測定、アスベストや重金属の混入の有無の検査などを行い、処理に当っての安全性の確保が重要であると考えます。

2 焼却場や埋め立て処分場の周辺住民や周辺自治会への説明会の実施と了解
市町村の廃棄物処理施設(焼却場や埋立処分場)は、市町村から排出される廃棄物の処理処分を行う施設です。そして廃棄物の焼却や埋立ては、周辺環境に影響を与え、周辺に住む住民の健康を害する恐れがある、いわゆる迷惑施設です。
そのため、焼却施設や埋め立て処分施設が、建設されるときには、焼却し埋め立て処分するものは、当該市町村から排出される一般廃棄物に限ることを、周辺住民や自治会と覚書や協定書として結び、できるだけ処理処分が過大にならないようにしています。
したがって、今回のような震災がれきの広域的な受け入れに当っては、周辺の住民や自治会に説明を行うこと、そして真摯にお願いして了解を得ることが一番必要なことです。そこで県ならびに受け入れの4市には、次のことを明らかにし、なぜ今回受け入れを行うのか理由を明示してください。
(1)住民との覚書、協定の内容
(2)今回説明会を開いた回数、そこでの住民の声
(3)周辺住民や自治会の了解

3 埋め立て処分場の基準について
廃棄物処理法では、埋め立て処分場由来の有害物による周辺環境汚染を防ぐために、技術上の基準(=構造基準)を作り、それを守ることを定めています。
たとえば、遮水層の二重化(粘土等の層と遮水シートの組み合わせ、2重シート)、基盤整備(シートの損傷の防止)、遮光性のある不識布による遮水層の保護です。
しかし、実際に使用されている埋め立て処分場では、そのような要件を備えた処分場でも、遮水シート損傷により、汚水漏れの事故が発生しています。
そこで立ち入り検査により、埋め立て処分場の基準を満たしているのか、定期検査が行われることになっています。
これに関連して、以下の点をお伺いします。
(1)今回がれきを受け入れ、焼却処理した焼却灰を埋め立てる各市の処分場では、埋め立て処分場の構造基準を満たした処分場になっていますか?
(2)その確認のための立ち入り検査は、いつ行いましたか?立ち入り検査の内容を明らかにしてください。
(3)検査結果を判断しての今回の受け入れですか?

4 森の防潮堤
放射能汚染物等有害物の処理に当っての、世界の原則は、拡散、焼却、希釈しないということです。がれきは、有害物については、一括集中管理し、その一方で有害でないものについては、宮脇昭氏の提唱する森の防潮堤として、処理活用することについては、いかがでしょうか?被災地の宮城県では、現議会で全会一致で確認されています。そのような点についてどのようにお考えになるかお聞かせください。

注1:「災害廃棄物の推計量の見直し及び、これを踏まえた広域処理の推進について」2012年5月21日 環境省リサイクル対策部
注2:「東日本大震災に係わる災害廃棄物の処理計画工程表」2012年8月7日 環境省

2012
1017

提出団体:
震災がれき市民サミット実行委員会
谷口自治会
ふるさと初倉を考える会
安心して暮らせる島田をつくる市民の会
春を呼ぶフォーラム
避難者支援サミット in 静岡
プラムフィールド
静岡放射能汚染測定室
がれき反対アクション@浜松
富士の子どもを守る会
ワークショップルーム
伊太ばば伊太ママミラクルの会
島田市最終処分場地権者6


2)島田市の実力行使(10月11日)その後。 

   

島田市の地権者による実力行使(=ロープを張って、自分たちの土地を勝手に使わせない)の後、当初すぐロープは取り外し、翌日から処分場を使用するといっていた島田市は、ロープを勝手に外し、地権者の所有地に入ることは、違法行為になることを、分かったためか現在もロープを外すことはできていません。 

地権者は、ロープを当初処分場の金網に取り付けていたため、金網から電信柱に、そして地権者が独自に作った杭に移し、その取り外しができないようにしています。 

市がロープを取り外せなかったこと、このことの中にこまで市がいかに違法を積み重ねてきていたか、そして地権者が我慢に我慢を重ねてきたのかが、象徴的に示されています。 

島田市長は、がれきの受け入れを被災地との絆を考えて、受け入れるという善人振りを装ってきましたが、善意の行動を取るものが、一方で処分場の地権者の了解も取ることなく、強引にがれきの受け入れを進めるといったことがあるでしょうか? 善人どころか、法令順守が必要不可欠に求められる自治体が、法令に違反して受け入れを進めようとしてきたのです。 

首長が、白でも黒といえば、職員はみな黒と言い出す。その首長をたしなめたりチェックしたりする機構がない。驚くべき日本の行政機構の情況です。 

この点のおかしさについては、昨日の交渉の中でも県を問いただしました。 

どのような合理的な理由で、県はこのような島田市にがれきを800トン振り分ける決定を行ったのかと。ところが県の答えは、「島田市が受け入れ可能といってきたから」という責任も何もない答えでした。

県と島田市に抗議を。

10月11日他の新聞報道の様子をお知らせします。(添付参照)


3)「ざまみやがれい」のインタビュー

17日、静岡県内での公開質問状の静岡市、県への提出を住民の皆さんと共に行い、記者会見にも参加し、夜の7時から東京駅で「ざまみやがれい」のブロガー座間宮さんとお会いしました。

そのときの様子が、「ざまみやがれい」のブログの動画で見ることができます。お時間のある方は、ご覧ください。


4) 島田市の最終処分場―応援の絵画や漫画やメッセージを。

   

   まだまだ東北被災地の復興支援のためにがれきの受け入れは、必要だという人が、多くいます。そうした中で、がれきを受け入れるなら、処分場の賃貸契約は、更新できないとがんばり、10月11日には、ロープを張る実力行使に出た地権者の皆さん。島田市や静岡県に抗議の声を届けると同時に、この地権者を励まし、応援するメッセージを「あんくら島田」に届けてください。送っていただいたものはラミネートして、掲載してゆきます。

大きさはA3まで。

 送り先は「あんくら島田」のブログをご覧ください。


20121018

青木泰

 

島田市のがれき受入れを巡る4つの疑問

120526 静岡県島田市がれき受け入れの4つの疑問(完).pdf
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120525 島田市ー伊太子供会の測定データ4.5月[1].pdf
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120523 島田市 最終処分場 地権者 ご通知書(120522)076.pdf
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120523 島田市 安心して暮らせる島田を作る市民の会 要望書(120522)
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120521 豊橋市をはじめとする東三河広域協議会の震災瓦礫広域処理受入れ先延ば
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北九州講演会の記事

120505 北九州講演会 小倉タイムス記事(120501)073.pdf
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柳泉園組合 がれき受け入れ説明会

326院内交渉のご報告

島田試験焼却結果

120328 島田試験焼却結果(最終版)-N氏作成ー.pdf
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週刊金曜日の「震災がれき広域化ー亡国の日本列島汚染」

120330週刊金曜日.pdf
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「被災地の早期復旧・復興のために、全国でがれきの受け入れを」というキャンペーンが盛んだ。しかしその一方で、全国の「善意」を利用する実態が見えてきた。

 震災がれき(+災害廃棄物)についての講演会で、関東や福島の「汚染地」から避難してきた多くのお母さんたちに会った。その避難先では母子を追いかけるように、がれきの受け入れ要請が政府から来ている。
  一時避難のつもりで訪れた秋田で、子どもが屋外でのびのびと遊ぶ様子を見て、福島から秋田に避難を決めたNさん。神戸の講演会後の座談会にも出席した幼子を連れたおなかの大きいHさんは、千葉に連れ合いを残しての避難だった――。

広域化キャンペーン
 東日本大震災から一年。福島第一原子力発電所から放出された史上類例を見ない放射性物質。避難先を求めた母子だけでなく、多くの家族が毎日の生活の中で放射能防御に気を配る生活を送っている。その中を、「がれき受け入れ推進キャンペーン」が飛び交っている。
   復興が進まぬ理由を、地方自治体ががれきを引き受けないからと決めつける政府。受け入れに手を上げた静岡県島田市の桜井勝郎市長は、最近、競争入札妨害で敗訴した悪役から一躍、被災地に心を寄せる英雄のようにもてはやされている。
 一兆円近い巨額の予算を後ろ盾にした大キャンペーンだが、共同通信社の調査(三月四日付)では、八六%の自治体が受け入れ困難を表明している。汚染がれきの安全な処理に責任を持てないからである。これに対し、NHKでは、市民の五七%が受け入れ賛成と報道している(三月一三日)。
 復興のためには、がれきの処理は不可欠である。しかし、被災地三県のがれきのうち、全国での広域処理化の対象になっているのは、岩手県で一割強、宮城県で二割強にすぎない。過半は地元で処理する計画である。
 ところが、がれき処理は一年経過しても全体でまだ七%しか進んでいない。阪神淡路大震災のがれき処理は、一年で五〇%以上終わっていた(『東京新聞』三月二〇日付)。これに較べると、今回の遅れ方はまったくひどい。がれき処理を遅らせ、被災者に暗い影を落としている本当の原因は、環境省や県による計画の遅れにある。
 三月二六日の院内交渉では、環境省はがれき処理の遅れの責任を問われることを怖れてか、仮設置き場への移動は総じて完了し、がれき処理は「順調」に進んでいると発表した。
 がれき処理の遅れを取り戻すために、広域化支援をと宣伝している細野豪志環境大臣は官僚たちにはしごを外されてしまった。

汚染チェックなし
 広域化処理にあたって、一番最初に考えなければならないのは、がれきがどれだけ汚染されているか、処理処分によって、安全確保できるかという点である。ところが環境省は、汚染は福島県だけにとどまるとし、昨年六月、岩手県・宮城県は広域化するとしてしまった。
 しかし、両県も放射能汚染されていることが判明する。昨年七月、食品の暫定規制値を超えた牛肉汚染が見つかったが、露天に置いていた数万ベクレル/㎏にも上る稲わらを食べさせたことが原因だった。各地の放射線空間線量にもとづいて作られた放射線地図(一五ページ参照)でも、両県の高濃度汚染が確認できる。さらに、放射性物質が付着した草木ごみを焼却することにより、両県の市町村の焼却炉の焼却灰も高濃度汚染されていた。
 数々の事実から岩手県・宮城県の露天に長く置かれていたがれきは、間違いなく汚染されていると推測できた。

「広域」利権?
 さらに広域処理は、経済性も無視している。これまで阪神・淡路大震災や中越地震によるがれき処理には、一トン当たり約二万円のコストだった。ところが広域化して東京都に持ってきた処理費は、三倍の約六万円もかかっている。
 また今回の処理経費の総額は、三県で九九〇〇億円だが、がれきの総量は、二四〇〇万トンでしかなく、従来ならば約五〇〇〇億円前後の予算ですむ。予算を巨額にしているのは広域化だが、広域化は、二県の二割くらいでしかなく、その分の増額分(全体の二割として四〇〇万トン×四万円)を考えても七〇〇〇億円くらいにしかならない。
 広域化は、地元の復興につながらず、全国に金をばら蒔く政策である。
 地元でがれきの処理プラントを造ろうとした岩手県陸前高田市の取り組みにストップをかけ、宮城県仙台市が地元で自前のがれき処理に取りかかる目処をつけた取り組みを、被災地全体に普及していない。

放射性物質は廃棄物
施設で処理できない
 放射性物質は、焼却しても埋め立ててもなくなるわけではない。通常のごみ焼却施設や埋め立て処分場である廃棄物処理施設は、放射性物質を処理することを想定して造られていない。
 焼却施設のバグフィルターは、煤塵除去のため設置されたものであり、埋め立て処分場にある、雨が降ったときの浸出水の処理設備も放射性物質の除去処理はできない。このままがれきの全国化・広域処理が進めば、日本列島を放射能汚染列島にすることになる。
 実際ごみ焼却炉で焼却した時、放射性物質はバグフィルターなどで九九・九九%除去できるという環境省の有識者会議の場で、京都大学の酒井伸一教授から「机上の仮定の数字が多い」と批判されている。また環境省の担当者が放射性物質についての実験データなしに言っていたことを認めたと報道されている(『東京新聞』一月二一日付)。

試験焼却の虚実
『読売新聞』は三月一六日、島田市の震災がれきの受け入れ表明に対して「受け入れを検討している自治体の背中を後押ししたのは間違いない。同市の試験後、県内では試験焼却(溶融)の実施を表明する自治体が相次いだ」と報じた。
 しかし、新聞が賞賛している島田市の試験焼却の実態は大きく違う。
「試験焼却」の結果、煙突からの煙は「ND(不検出)」と報告されているが、これは、「0(+ゼロ)」ではない。測定器が計測できる値以下だったということでしかない。焼却炉の排ガス流量は、膨大な値であり、島田市の場合一時間あたり約二万立方メートルと報告されている。排ガスの流量から考えると、一日約四〇万ベクレルのセシウムが環境中に排出される。島田市の試験焼却データからは、バグフィルターの捕促率は六〇%~八〇%という報告もある。
 通常、「試験」は合否を問うものである。この種の「試験焼却」は、合否の基準がなく、がれき受け入れの単なるデモンストレーションでしかない。
 また島田市の事例でいえば、最終処分場の浸出水を処理した後の放流水を受ける土壌から三〇〇ベクレル/㎏のセシウムが地質学の専門家大石貞男氏によって検出された。汚染茶の焼却による影響ではないかとの地元での指摘もある。大井川を汚染し、河川敷伝いにつながっている地元の上水道取水口に影響を与える可能性もある。
 がれきの処理は、安全基準を速急に設け、危険物は処理せず原子力施設周辺に保管し、危険でないものは、地元の雇用対策を兼ねて地元処理を行なうべきだ。広域化は被災地の不幸をそのままにし、汚染を全国に広める亡国の政策である。

青木泰
あおき やすし・環境ジャーナリスト。

青木泰 講演会

青木泰講演会「がれきについて知っておきたいこと」前編

青木泰講演会「がれきについて知っておきたいこと」後編